今回 上演された曲目について、少しだけ御紹介します。
今回の曲目の中で最も注目されたのは、何と言ってもメインの「交響詩/横浜」でしょう。須賀田作品の中でもごく初期 (1932年) にあたるこの作品は、フランス音楽に造詣の深い菅原明朗に師事していた頃のものということもあって、もろフランス音楽という感じ。ラヴェル、ドビュッシー、ストラヴィンスキーなどの様々な手法が次々と、時には恥ずかしくなるほど露骨に現れます。須賀田が後になってこの曲を作品番号の中に入れなかったのは、こんなところが原因なのかな、と思わせます。しかし「春の祭典」や「火の鳥」にそっくりなモチーフがひとしきり続いた後に、突然クラリネットで日本的な子守唄風のメロディーが現れるのですが、その物悲しい美しさといったら!!・・・。
「双龍交遊之舞」 は、近衛秀麿の「越天楽」にも通ずる、雅楽の和音が親しみやすい3部からなる小品。
「交響的序曲」は須賀田の力強い構成力が横溢した佳作。随所に大胆な不協和音を取り入れ、難渋な展開もいとわず、ひたすら突き進んで行くそのパワーは、今日の日本人が忘れて久しいものでしょう。クライマックスの和音は、まさに感動ものです。
うって変わって「沙漠の情景」では美しいメロディーが随所に散りばめられ、親しみ易さではこれが一番かも知れません。そのエキゾチックでやや通俗的な雰囲気は、イポリトフ・イワーノフの「コーカサスの風景」を思い起こさせます。 中でも第4曲「東洋の舞姫」で奏されるオーボエのメロディーは、一度耳にしたら絶対に忘れられない美しさです。どこかテレビのCMにでも使ってくれれば、きっと評判を呼ぶのでは、と私は思うのですが・・・・また終曲「アラビア馬に跨りて」では、炸裂するオーケストラの威力と、ユーモラスなホイッスルの響きに、体の芯から興奮させられます。
私はこれらの作品が今後、一人でも多くの方に聴いていただくために、早急にCD化されることを願ってやみません。
▼岡崎隆氏ホームページ
▽岡崎氏による「交響的序曲」の紹介